2月に掲載予定の拙文
  (秋田県保険医協会の協会誌に)

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海の青さと赤い雲

2泊以上の旅をほとんどする習慣がないが、

3年前に宮古島に行ったことがある。仙台空

港から那覇まで約3時間、那覇から宮古島ま

では30分ぐらいで着いた。知り合いがしば

らく滞在していたので、自分も行ってみよう

と思ったのだった。

 海の色が特別青い。その島には川がなくて

陸上の諸々が海に流れることがなく、特別な

青色になるらしい。そして、海の上を長くう

ねって島をつなぐ橋と、その向こうに沈みつ

つある夕陽。その光景をゆっくり眺めている

とき、若いとき親しんだ詩句が浮かんだ。

(エへへ)


  また見つかった! 

   何が?    永遠。

 それは太陽と溶け合う

    海のことだ。 (A.ランボー)

 

 南の島で思い出すが、去年11月に日本の首

相が、「台湾有事となれば、日本にとっては存

立危機事態になりうる」、との国会での答弁が

あった。とても驚いた。存立危機事態とは、

安倍晋三氏のもとで成立した安保法制、その

中の集団的自衛権の行使を認めるという意味

していると私は理解している。つまりアメリ

カと共に中国との戦争も辞さないということ

だろう。しかもそういう発言をした首相につ

いて、各社の世論調査で支持率が軒並み60

を超えて下がることがなかった。

  自分がもう年で、時代の趨勢についていけな

くなっているのだろうか。でも私にはこの国

の若い人たちの歴史に関する無知がとても気

になるのである。もともと日本の教育では自

国の近現代史がきちんと教えられなかった。

そのうえ安倍氏が首相になった頃からは、自

国の歴史の負の面が故意に無視されるように

なった。たとえば安倍氏のもとでの政府見解

は、「南京で行われたのは通常の戦闘行為以上

でも以下でもなかった」である。これではど

こかのホテルに置いてある歴史改竄の小冊子

と同じである。まともな歴史学者でそのよう

に考えている人は皆無のはずだ。

 どこの国の歴史にも自慢できる面と負の面

とがある。その両面を正しく知ることが正

しい歴史認識であり、それを怠ったとき後

年には思いもしなかった国際問題が発生す

るのではないだろうか。

  恐ろしい発言をする首相を好感で持ち上げ

続ける多くの人々。安倍氏たちの願いは成就

された。おめでとう。  でも、 


 宮古島の海がいつまでも青く、けっして血

 で濁ったりしないことを願う。


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